2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

本を読むための本

この世には、本を読む方法、本の読み方、読書論について述べた本というものが存在している。といっても、批評のための理論書とかではなく、いわゆるブックガイドでもありません。読書という行為そのものに関する本。思い浮かぶのは「速読法」の類かもしれな…

奥ゆきを手に入れる——川上未映子『ヘヴン』

ヘヴン (講談社文庫) 作者:川上未映子 発売日: 2014/11/14 メディア: Kindle版 いじめを描いた作品、という情報を持っていたために、いじめを主題とした小説として読んでしまった。しかし『ヘヴン』は、ただのいじめを描いた社会派の小説ではないのだろう。…

批評とはなにか——高橋敏夫『絶滅以後』

絶滅以後―閉じられてゆくステージで 作者:高橋 敏夫 発売日: 1997/05/01 メディア: 単行本 「批評とはなにか。」いまとここを嫌悪の主体による。いまとここを保守する者に批評はありえない。いまとここは変更可能である。にもかかわらず、単一性と固定制を人…

「障害/健常」の超克にむけて——『さっちゃんのまほうのて』

さっちゃんのまほうのて (日本の絵本) 作者:たばた せいいち 発売日: 1985/10/01 メディア: 単行本 さっちゃんは生まれつき右手の指の欠損した少女であるが、最初のページからしばらくは、読者がその欠損に気づくことはないであろう。6ページでさっちゃんの…