演劇

「びーあんあいどる!!」を観る

知り合いが関わっていたので、システマ・アンジェリカ×劇団くるめるシアター企画公演「びーあんあいどる!!」を観た。感想を述べるべきなのだろうと思うのだが、私にはこういう形でしか感想めいたものが書けず、失礼だというのはよくわかっているのだが……。…

可能性・辻褄の合わなさ・暴力――範宙遊泳『その夜と友達』観劇メモ

範宙遊泳『その夜と友達』はいくらかは人間的だった学生時代を経てクソみたいな大人になりつつある日本の私たちにとにかく刺さる。差別発言とかしちゃう人が大統領になって大丈夫なのかなどと言っていた過去(2017年頃)と、6色の造花を配っていたら逮捕される…

福島の今、過去から未来へ――チャレンジふくしまパフォーミングアーツプロジェクト『タイムライン』藤田貴大

チャレンジふくしまパフォーミングアーツプロジェクト『タイムライン』演出:藤田貴大、音楽:大友良英、出演:ふくしまの中学生・高校生 1 福島の今 『タイムライン』において、「なんともない日々の わたしたちのタイムライン」から始まる、フライヤーに…

高校演劇サミット2016

‪こまばアゴラでやっていた高校演劇サミットという企画で、都立駒場高校、甲府南高校、精華高校の演劇を観た。それぞれについて思ったことのメモを記しておくが、我ながら、彼らを高校生として見てしまっている、上からのコメントになっている。まあ彼らは高…

マームとジプシー『クラゲノココロ』『モモノパノラマ』『ヒダリメノヒダ』について三点

ハスキーさんに書けと言われた(?笑)ので書いたものです。ハスキーさんのブログ「カフェインとレコーズ」にも掲載されています。ハスキーさんの書かれた同作への劇評はこちら。 2016年9月18日、さいたま芸術劇場で観劇。思ったことを三点。しかし、観劇し…

アリストテレス「詩学」と現代演劇

アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論 (岩波文庫) 作者:アリストテレース,ホラーティウス 発売日: 1997/01/16 メディア: 文庫 数千年前、まだこの世にドラマ=演劇などという概念のなかった時代の「演劇」論。 例えばカタルシスなんて言葉、俗に使わ…

私たち演劇(?)――本谷有希子×飴屋法水@VACANT

8月9日、VACANTで本谷有希子×飴屋法水を見てきた。思ったことなどのメモ。ちょっと時間を空けすぎて、かなりうろ覚えかつ、事実関係も怪しい気がするので読む方は注意。 私には単純に退屈な時間が長く、見ているのがなかなかつらい演劇だった。物語らしい…

誰が泣いているのか――マームとジプシー夜三作「夜、さよなら」「夜が明けないまま、朝」「Kと真夜中のほとりで」

彩の国さいたま芸術劇場にて、2016年2月18日、初日に観劇。 ただ、この芝居について文章を書くだろうというつもりがなくメモもほとんどなく、この文章を書き始めたのは観劇の次の日の朝で、私の場合、一日経てば記憶は十分に曖昧になる。劇場で上演台本なん…

マームとジプシー『cocoon』再演について

マームとジプシーによる『cocoon』の再演について、呟いたことなどを。 まず、私がマームとジプシーの芝居を見たら毎回言うことなので、もう書く必要もないのではとさえ思ってしまうのだが、すごく良かった。俳優たちも素敵だし演出も洗練されているし、感情…

「一度だけ」のリフレイン——マームとジプシー『カタチノチガウ』

「一度だけしか話さないから、よく聞いてほしいんだけど」――『カタチノチガウ』は長女・いづみの、次女・さとこに向けられたこんな台詞から始められる。 マームとジプシーはリフレインと呼ばれる、場面の反復を特徴とする演劇で知られている。そしてリフレイ…

「Our Planet」と「My Planet」/演劇を記録すること――ままごと『わたしの星』

8月25日、観て来ました。高校生演劇とか、そういうのを抜きにして大変良かった(巧みな戯曲だったし、高校生というネームバリューのいらない俳優ばかりだった)。感想を書いておきます。 1,「Our Planet」と「My Planet」 『わたしの星』の舞台は近未来の…

『演劇をめぐる大雑談会vol. 5 ゲスト藤田貴大』メモ・感想

『演劇をめぐる大雑談会vol. 5』という、早稲田の水谷八也教授の企画している講演会に藤田貴大が来るというので、聴いてきました、のでメモと考えたこと(発言は正確な引用ではない場合があります。すいません……)。 隣に後輩の女の子が座っていたのだが、藤…

ミノタウロスなき〈迷Q〉——Q『迷迷Q』

Q『迷迷Q』@こまばアゴラ劇場、4/25観劇。 Qの前作『いのちのちQⅡ』を私は、〈O〉の演劇として観た(「Qは「形」を問う――Q『いのちのちQⅡ』」)。「ニンゲンの世の中」すなわち地球と、それに依存した暦、時計、社会制度、そして再生産の「形」、〈O〉。『迷…

範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』

範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』、東京芸術劇場シアターイーストで、観て来ましたので感想のメモ。 良い。センスの良いユーモアと、鋭さ。僕の読み取れた限りの本作の持つテーマに目新しさはそれほどないかもしれないが、見せ方はかなり洗練されて…

シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』

シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』を観たので感想。 テレビドラマ的にシリアスな物語(三角関係とか、先生と生徒の恋愛、未成年の年上男性とのセックス、とか)を、シベ少特有の高度にくだらない笑…

川上未映子×マームとジプシー(東京国際文芸フェスティバル2014クロージング!)

東京国際文芸フェスティバル2014(というものがあったわけですが、みなさんご存知なんでしょうか。僕は知ってましたがスルーしました)のクロージングイベントに行きましたので少し感想を、書き散らしていますがお許しください。主に、というか全部川上未映…

きたまり+Offsite Dance Project共同プロデュース『RE/PLAY(DANCE Edit.)』

きたまり+Offsite Dance Project共同プロデュース『RE/PLAY(DANCE Edit.)』多田淳之介演出、2014年2月14-16、急な坂スタジオホール 14日、雪の中野毛山を上り、観ましたので考えたことのメモ。私は『再/生』からの一連の上演を観ていないので、『RE/PLA…

ミステリー戯曲『マクベス』

マクベス (光文社古典新訳文庫) 作者:シェイクスピア 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 ミステリー戯曲である。普通に読んでも飽きさせるところのない快作でもあるのだが、ちょっとした台詞が実は続く展開や物語全体を暗示していたり、ちょい役と見せ…

快快「6畳間ソーキュート社会」

快快「6畳間ソーキュート社会」@トーキョーワンダーサイト渋谷 テクノロジーの時代における、演劇という芸術の、そして快快の、プリミティブな魅力。生活を肯定する、優しさに溢れた劇団、演劇。 会場の空間に入ると、中心に畳が六畳敷いてあり、その上には…

小劇場に行くための本

今、演劇が熱い、と演劇に関わる人間が最近よく口にしているのですが、決して内輪だけの熱さではないと私も感じております。演劇に関しては、劇団四季とかシェイクスピアとかといった大物のイメージを持たれている方の多い気がしますが、しかし、今、熱いと…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ゴミ、都市そして死』

ゴミ、都市そして死 (ドイツ現代戯曲選30 第25巻) 作者:ライナー・ヴェルナー ファスビンダー 発売日: 2006/12/01 メディア: 単行本 舞台は「月面上、というのも月は地球のとりわけ都市部と同じく人の住めないところだから。」。人の住めないところたる都市…

演劇は現実を変えられない――東京デスロック『シンポジウム』

東京デスロック『シンポジウム』について。レポートとして提出したりしたものの改稿です。 東京デスロック『シンポジウム』について考える前に、彼らが今年の一月に行った『東京ノート』の公演を思い出さなければならない。 平田オリザの戯曲『東京ノート』…

マームとジプシー『cocoon』

マームとジプシー『cocoon』(8/6観劇) 先に原作である今日マチ子の漫画作品について語るべきなのかもしれないが、記憶が薄れてしまう前に藤田貴大作・演出『cocoon』について、覚書、というか思考のダダ漏らし。考えることが多すぎて全然まとまりません。…

東京デスロック『シンポジウム』

東京デスロック「シンポジウム」@富士見(7/28) これは演劇だろうか? こう思う者も多いだろう。私も芝居の始まってからの一時間は、そのような疑問を抱いた。 小さな空間、左右の壁際に四つと五つの椅子が用意されていて、前方には司会者の椅子と机がある…

FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a roll」

FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a roll」(7/11観劇) FUKAIPRODUCE羽衣は、ホームページによると「作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体」である。これくらいのことも調べずに第16回公演「Still on a roll」を観…

シベリア少女鉄道「遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013」

シベリア少女鉄道「遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013」作・演出:土屋亮一 2013年7月3日〜14日@王子小劇場 観て来ました。おもしろかった。再演らしいのですが、小耳に挟んだ情報によるとけっこう変わってるらしいですよ(噂。僕は今回しか見ていないの…

ロロ「ミーツ」、ハイバイ「て」、燐光群「帰還」、白山羊の会「効率の優先」

ロロ「ミーツ」、ハイバイ「て」、燐光群「帰還」、白山羊の会「効率の優先」の四本を観ました。岡崎芸術座「ブラックコーヒー」も観に行きたかったのですが日程が合わず断念。観たかったよ……。 ロロ「ミーツ」素直じゃない物語。奇妙な怪獣に出会った少年の…

維新派「レミング ~世界の涯までつれてって~」ままごと「朝がある」ポーラは嘘をついた「余白」水族館劇場「あらかじめ喪われた世界へ」

五月は学業が忙しく(ほんとか?)劇評、というか劇を見ての感想的なメモ的な何か、を書いてなかったのでまとめてかるーく書いておきます。 ■レミング ~世界の涯までつれてって~(公式HP)作・寺山修司 演出・松本雄吉(維新派) PARCO劇場寺山修司没後30年…

犬と串『左の頬』

犬と串case.10『左の頬』 作・演出:モラル2013年4月10日 (水)~21日(日) シアター風姿花伝 犬と串、今回観に行ったのは、何かの雑誌(何の雑誌だっけ)で彼らの前回公演『さわやかファシズム』について軽く触れている文章を読んで、おもしろそうなことやっ…

今『メモランダム 古橋悌二』を読んで

メモランダム 古橋悌二 発売日: 2000/11/01 メディア: 単行本 ダムタイプを結成し、「pH」「S/N」といった作品を生み出した古橋悌二は、その偉大な作品群をもって、「芸術は可能か?」「アートは有効な表現手段か?」という問いを発した。そして、「我々現代…