2016-01-01から1年間の記事一覧

山戸結希の『溺れるナイフ』

溺れるナイフ 発売日: 2017/04/21 メディア: Prime Video 山戸結希監督『溺れるナイフ』は、小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音といった今をときめく俳優陣と、いかにも流行の量産される少女漫画原作の映画然とした予告映像と宣伝で、正直不安もあっ…

森見登美彦『夜行』のホラー

夜行 (小学館文庫) 作者:森見登美彦 発売日: 2019/10/04 メディア: Kindle版 森見登美彦の『夜行』を読んだ。正直に言って森見登美彦のこれまでの小説の方が好きだ。しかし、やはりよくできている。 小説は第一夜〜題五夜の五つの章に分かれている。それぞれ…

マームとジプシー『クラゲノココロ』『モモノパノラマ』『ヒダリメノヒダ』について三点

ハスキーさんに書けと言われた(?笑)ので書いたものです。ハスキーさんのブログ「カフェインとレコーズ」にも掲載されています。ハスキーさんの書かれた同作への劇評はこちら。 2016年9月18日、さいたま芸術劇場で観劇。思ったことを三点。しかし、観劇し…

新海誠はスマホが苦手?――新海誠『君の名は。』

君の名は。 発売日: 2017/07/26 メディア: Prime Video 『君の名は。』を観てきた。観たらつらくなる気がし、少なくとも映画館で観るのは避けようと思っていたのだが、Twitterを見ているとやたらと評判が良く、仕方なく。結果としてかなり良かった。物語も画…

アリストテレス「詩学」と現代演劇

アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論 (岩波文庫) 作者:アリストテレース,ホラーティウス 発売日: 1997/01/16 メディア: 文庫 数千年前、まだこの世にドラマ=演劇などという概念のなかった時代の「演劇」論。 例えばカタルシスなんて言葉、俗に使わ…

私たち演劇(?)――本谷有希子×飴屋法水@VACANT

8月9日、VACANTで本谷有希子×飴屋法水を見てきた。思ったことなどのメモ。ちょっと時間を空けすぎて、かなりうろ覚えかつ、事実関係も怪しい気がするので読む方は注意。 私には単純に退屈な時間が長く、見ているのがなかなかつらい演劇だった。物語らしい…

あの時期に買った懐中電灯

魔法が使えないなら死にたい アーティスト:大森靖子 発売日: 2013/03/20 メディア: CD メジャーデビューしたあたりから不思議と大森靖子の情報が入ってきていない。調べてみたら盛んに活動しているようである。単に僕が興味を失ってしまったようだ。しかし前…

『This War of Mine』レビュー

This War of Mine - 11 bit studios s.a. 私がプレイしたのはiOS版だが、WindowsやMacでもプレイできるようである。 ゲーム性もさることながら、設定、ビジュアル、BGMから醸し出される雰囲気がとてもいい。 舞台は反乱軍に制圧され、政府軍に包囲されたある…

空の狭さ——荒井晴彦『この国の空』

この国の空 発売日: 2019/01/05 メディア: Prime Video 雑誌「映画芸術」2015年ベストテン1位、は出来レースという感じもしなくもないと思っていたのだが、観てみたら大変良かった。 タイトルは「この国の空」だが、とにかく空が映らない。正確には数えてい…

誰が泣いているのか――マームとジプシー夜三作「夜、さよなら」「夜が明けないまま、朝」「Kと真夜中のほとりで」

彩の国さいたま芸術劇場にて、2016年2月18日、初日に観劇。 ただ、この芝居について文章を書くだろうというつもりがなくメモもほとんどなく、この文章を書き始めたのは観劇の次の日の朝で、私の場合、一日経てば記憶は十分に曖昧になる。劇場で上演台本なん…