長澤英俊展

 

 

今日は美術の授業で川越市立美術館で催されている長澤英俊展に行って参りました。

長澤英俊とはイタリアで有名な彫刻家。彼は我が母校出身、いわば先輩でして、26歳の時に自転車でイタリアはミラノに向かったとか。ちょっとすさまじいですよね。芸術のためにそこまでできてしまうのかと。それほどの意志があるからこそ、深淵な意味と計算されつくされた形を持った神話の時代の詩のような作品を創りだせるのでしょう。

美術のこととかほとんどまったく勉強したことがないのですが、それでもすばらしい芸術からは何か感ずるものがあります。危うい形でありながら均衡をたもつ大理石の柱であったり、見た目はほぼまったく同じだが中身は違う二つの輪であったり。美しさもさることながらただ美しいのではない。遥か彼方に存在する意味と言いますか、そこにあってそこにはないような印象を覚える作品群。

一番感動したのは長澤英俊展の副題ともなっている『Dove tende aurora』、オーロラの向かう所。ポスターに載っている幾本もの柱がそれなのですが、これが地下の、ほんのかすかに光が差し込むだけの空間に存在している。暗闇の中にぼんやりと存在するそれが目が慣れていくにつれやがて全体像を表した時には、世界に一人になったような感覚を覚えました。もちろん傍には学友どもがいたわけですが、遥か遠い次元の空間に一人生まれ出でたような、あるいは遥か古代の忘れさられた神殿に迷いこんだような、あるいは夜の湖底、太陽のない世界。ほんと、空間が入れ替わった、異次元に辿りついてしまったように感じる時間でした。この柱群の前でなら何時間でも黙って座っていられそうです。

川越市立美術館と埼玉県立近代美術館で開かれているこの長澤英俊展は連休の終わり、9月23日で終わってしまうのですが、それまでにもう一度一人で行ってみたい、あの空間に取り残されてみたいと思う朝霧でした。

シーユー!

川越市立美術館
埼玉県立近代美術館