シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』

シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』を観たので感想。

 テレビドラマ的にシリアスな物語(三角関係とか、先生と生徒の恋愛、未成年の年上男性とのセックス、とか)を、シベ少特有の高度にくだらない笑いが覆い尽くしてしまう感じの芝居。非常に笑える、レベルの高いくだらなさ。冒頭、「今回出れなかった三人」と土屋亮一が「ビフォアトーク」という体で軽いトークをし、三人は客席に座るのだが、途中、裏方に許可をとった悪戯、という体で舞台に上がり、芝居の邪魔をし始める(元々舞台上にいる俳優たちも、予想外、といった風を装いつつ、演技を続ける。)。しかし段々と、明らかに練習してきているような台詞を発するようにまでなり、ついには巨大な化け物の舞台装置として三人が登場、言葉遊びによってそれを倒すという、シベ少お得意な流れなのだが、やはり最高に笑える。そして、予想外であるという演技と元々の演技という二重の演技をしていた俳優たちも見事。完全に騙されました。

 しかし、いじめ、レイプ、妊娠を使ってしまったのは、どうなのかな、というか批判しなければならないだろうと僕は思う。この劇団はとにかく笑わせる技術が魅力で、そこに文句を言うのは野暮なのかもしれないが、しかし。そういった「笑えない」問題を組み込んでしまうことも意図的に行っているのだとしたら、僕がその意図を理解できていないということになるが、無意識に、物語のベタなモチーフ、といった風に取り入れてしまったのだとしたら、批判されるべきであろう。まあ、どこまで「笑え」て、どこから「笑えない」のか、という線引はけっこうに個人的なもので、僕の場合は教師と教え子の恋愛を「笑え」てしまえるが、人によってはそこも大いに「笑えない」はずで、といったことも考えました。

 あとは、相変わらずの篠塚茜のかわいさ。去年よりは輝きは衰えたか……という感じもしたのだが(何を見てるんだ)、彼女はもうアイドル性のようなものを持ってしまっている。シベリア少女鉄道の芝居は篠塚茜が出ているというだけでもう観る価値がある。