『This War of Mine』レビュー

This War of Mine - 11 bit studios s.a.

私がプレイしたのはiOS版だが、WindowsMacでもプレイできるようである。

ゲーム性もさることながら、設定、ビジュアル、BGMから醸し出される雰囲気がとてもいい。

舞台は反乱軍に制圧され、政府軍に包囲されたある国の首都である。操作するキャラクターはそこで暮らしていた市民たちだ。

廃墟となった家屋、スーパーなど、いろいろな場所に出かけて資材や食料をリュックに入るだけ回収し、道具や設備や薪を作ったり、シェルターの穴を塞いだりする。時には武器をもって向かってくる相手に立ち向かい、殺し、生き延びる必要がある。しかし主人公たちは基本的には極々普通の市民で、強盗や窃盗をすれば気を病むことになる。資材が揃ってくれば、ある程度水や食料や煙草や銃弾を生産できるようになってくる。しかし寒さや暴徒からシェルターと身を守らなくてはならず、日々作業と決断が必要となる。

そういうゲームだ。何も考えずにプレイしていると、すぐに食料が足りずに飢えたり、心や体を病んでしまう。しかし二、三回目のプレイになれば、必要なことがわかってきて、生存できるようになっていく。そしてラジオをつけたり、ギターを弾いたりしつつ(鬱対策なのである)、せっせと巻き煙草を作っていてふと、鉛筆画風の背景のビジュアルの美しさ、聴こえるBGMの美しさに気づく――。

あまりゲームをする人間ではないのだが、これは単純におもしろかった。さらに言えば、食べ、温め、眠るといった、平和な都市に生きていては意識できない「生きる」ことの要素が、プレイを終えたあとにふと意識されたりして、それも楽しかった。なかなかおすすめである。