維新派「レミング ~世界の涯までつれてって~」ままごと「朝がある」ポーラは嘘をついた「余白」水族館劇場「あらかじめ喪われた世界へ」

五月は学業が忙しく(ほんとか?)劇評、というか劇を見ての感想的なメモ的な何か、を書いてなかったのでまとめてかるーく書いておきます。

レミング ~世界の涯までつれてって~(公式HP
作・寺山修司 演出・松本雄吉(維新派PARCO劇場
寺山修司没後30年記念公演。これはつまらなかった……僕がでかい劇場で演劇観ると絶対つまらないというジンクスがあるのですが、やっぱりおもしろくなかった。寺山修司はけっこう好きなので期待はしていたのだが。まあ合わなかったということですかね。他の劇団のやる「レミング」を見たことがないのでなんとも言えないのですが、おそらく維新派独特の(日本的な?)リズム感が僕にはきつかったです。台詞もこのリズム感に合わせて変えられていると思うのですが、最初はおもしろかったが、飽きてしまった。なにより舞台が遠かったしね……やっぱり小劇場が好きです。

■朝がある 弾き語りツアー(公式HP
作演出・柴幸男 桜美林大学プルヌスホール
実験的な演劇ですが見ていられるし見てて良い気分になる雰囲気の良い芝居。太宰治の短編「女生徒」をもとに、ある少女の朝の一瞬を繰り返し繰り返し描写するというアンチ劇的なもの、ドラマを否定する実験的な構成でありながら演劇愛溢れる明るい感じだったのが心地よかったです。繰り返し、と言ってもそこは柴幸男(?)、演出が凝っていて飽きずに見ていられる。しかしまあアンチ劇的なもの、といっても微妙に劇的なもの(おねえさんの失踪やピアノや)は忍び込んでいるのですが、普通にそういうものもあった方が良いと思います()。

■余白(公式HP
作演出・鈴木りりせ 早稲田大学学生会館
前々から気になっていたポーラは嘘をついたの公演。学生の劇団(だよね?)ですが、きっと卒業後も続くのだろう。今までどういう戯曲でやってきたのかは知らないのですが「余白」は小説的で、八人くらいの登場人物がいるにも関わらず対話はないという戯曲で、雰囲気がとても良くておもしろかったです。キャラクターたちはそれぞれ何かを抱えていて、それぞれの場面で誰か一人が一人で語り続ける。舞台の上には他の登場人物たちが残っていたりもするのですが、彼女たちが会話をすることはない。彼女たちの背後にある物語はほとんど明らかにされないのですが、それでもちょっとした気の利いた台詞や演出が冴えていて、飽きない。指輪を捨てるとか、泣いているとか、上手いよなぁといった感じ。演出といえばオープニングで、暗闇の中で女優さんがマッチを擦っては消すの、意味はわからなかったけども最高にかっこよかったです。もっとよく見ればもっといろいろ仕掛けがあったのかなぁとも思います。

■あらかじめ喪われた世界へ(公式HP
作演出・桃山邑 鎮守の杜太子堂八幡神社境内特設蜃気楼劇場「夜の泡〔うたかた〕」
「朝がある」も「余白」もまあ最先端の演劇といった感じで、洗練されているのですが、この劇は、昔ながらのアングラ演劇を力づくでおもしろくしている印象。少女とか、炭鉱とか、人形とか、老婆とか、そんなモチーフいっぱいのザ・アングラといった感じの劇でした。西太子堂八幡神社境内の特設劇場がまた異様な雰囲気でかっこよかった。台詞とか現代口語な演劇に慣れた僕(?)にはとんでもなくダサく感じられるのですが、それでも圧倒的な演出と舞台装置で、心を震わせる、そんな公演でした。だから台詞は全然覚えてないです()。ただただ神社境内に立つ劇場の異様さ、役者の妖艶さ、ド派手な演出が心に焼き付けられてます。あとヴァイオリン、アコーディオン、ギターのトリオの生演奏が挿入されていたのですが、ヴァイオリニストが女優で、演技も素敵でかっこよかったです。箱庭コラァルの山本紗由という方だったのですが、チェックチェック。