塾講師が勧める学習法まとめ:高校国語古文編

はじめに
→古典学習について過去に書いた文章
理論上、古文常識、古文単語、(敬語)、文法の順に土台となる。その上で主語を見破る力を身につければ古文は読める。が、音読や通釈など、学校でやるような地道な学習による古文慣れも、間違いなく影響する。
古文常識は学校の先生が話してくれればそれで良いが、参考書で学習する場合は、世界観をなんとなく理解するつもりで、あっさり済ませればいい。古文単語は参考書が必須だが、後に挙げる『マドンナ古文単語230』一冊でも足り、英語ほど大変ではない。難しいのは文法、特に助動詞で、しっかり参考書をやらないとなかなか身につかない。逆に助動詞までマスターすれば、古文は得点源になる。

参考書レビュー
●古文常識
・『シグマ新国語便覧』★★★
国語に関する知識事項は大抵載っており持っておきたい参考書だが、古典常識に関しても大変充実している。

・『古文の読解』★★
文学研究者の書いた参考書。古文の世界観や語句の深みを学べる。参考書として使うというより、読み物として通読するのがおすすめ。

・『源氏でわかる古典常識』★
筆者には役に立たなかったが、余程古文常識に自信がないかつ時間をかけず勉強したいならこれが定番。

●古文単語
・『日々古文単語帳365』★★★
情報量が十分であるだけでなく練習問題も付いており大変良い。もちろん一日一語というわけにはいかないが、30語程度を一区切りに12回で1周できる。

・『マドンナ古文単語230』★★
230語というと少なく感じるが(実際難関には足りないのだが)、まずはこの一冊をしっかり読み、基本的な語彙を身につけたい。付属の暗記カードは便利だろうが練習問題等がないので定着の確認は難しい。中堅大学までならこの一冊で十分。

・『古文単語ゴロ565』★★
ふざけた参考書のように見えるが意外と良くできていてなかなか頭に残る。特に古文に興味がない受験生には大変おすすめ。

・『読み解き古文単語』★★
古文を読みながら単語を学ぶという英語でいう『速読英単語』のようなものだが、ある程度文法の知識がないとなかなか読み進められず、難しい。学べる語数は多い。難関受験生向け。

・『速読古文単語
・『読んで見て覚える重要古文単語315
未チェック。

●文法参考書
・『古文上達 基礎編 読解と演習45』★★★
かなり良い。文法の基礎を学び、実戦問題で確認することができる。

・『古典文法10題ドリル 古文基礎編
・『古典文法10題ドリル 古文実戦編』★★★
基礎固めに。筆者はこれが最も気に入ったが、類似の参考書に『ステップアップノート30古典文法基礎ドリル』『基礎からのジャンプアップノート 古典文法・演習ドリル』があり、どれも内容に大差なく基礎固めなので本屋で見て好きなものを使えば良い。

・『古文解釈の方法』★★★
やや難しい話も含まれるが、入門から難関入試まで使える一冊。難関を狙うなら通読、そうでないなら参考書として必要なところを読む。かなりおすすめで、これを読みこなせれば他に文法の学習をする必要もない。これを易しめにしたものに『古文解釈はじめの一歩―文法から解釈へ』がある。

・『読解古典文法 解法ルール36』★★
識別など、塾で教わりそうな入試対策的テクニックの載った参考書。最低限の文法を理解してから読めば役に立つ。

・『古文インプット52―文法・和歌の修辞・演習
・『「君の名は。」で古文・和歌の読み方が面白いほどわかる本
未チェックだが立ち読みした限り良さそう。

●実戦問題集
・『中堅私大古文演習』★★
標準的・実戦的な内容で、中堅私大受験生に限らず文法まで学んだ後の手始めに解くのにちょうど良い。

・『古文解釈の実践 Ⅰ』『古文解釈の実践 Ⅱ』★★
なかなか難しい。国立難関大を狙うなら『古文解釈の方法』を読みつつこなしたい。

●講読
・『理解しやすい古文』★★★
学校で読む古文はだいたいこれで学習できる。独学者の一冊目にもおすすめ。

・『解説 徒然草
・『解説 百人一首』★★
灘校の国語教諭・橋本治氏の講読本。古典に興味が出てきた、あるいは興味を持てない人におすすめ。