観ること

来ないで——『ワンダフルワールドエンド』

ワンダフルワールドエンド 発売日: 2015/06/24 メディア: Prime Video 大森靖子「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」のPVを発展させたような映画で、私のまわり(?)では大森靖子が出ているとか大森靖子が主題歌だというところで話題になっていたよう…

pura vida / the ridge――『アンナプルナ南壁 7400mの男たち』

アンナプルナ南壁 7400mの男たち(字幕版) 発売日: 2015/06/02 メディア: Prime Video 期待していた程おもしろくなかった。というのも僕は『アンナプルナ南壁 7400mの男たち』というタイトルを見て素直にアンナプルナの雄大な姿を期待していたのだ。しか…

“市川由衣の映画”――安藤尋『海を感じる時』

海を感じる時 発売日: 2015/04/03 メディア: Prime Video 池松壮亮と休憩中に懇談。洋が「女を殴る」ことについて、洋がイヤな男にしか見えなかったら映画として辛い、と私は危惧したが、池松はその「匙加減」には確信があるようだった。「ボクが邪魔をしな…

「Our Planet」と「My Planet」/演劇を記録すること――ままごと『わたしの星』

8月25日、観て来ました。高校生演劇とか、そういうのを抜きにして大変良かった(巧みな戯曲だったし、高校生というネームバリューのいらない俳優ばかりだった)。感想を書いておきます。 1,「Our Planet」と「My Planet」 『わたしの星』の舞台は近未来の…

『演劇をめぐる大雑談会vol. 5 ゲスト藤田貴大』メモ・感想

『演劇をめぐる大雑談会vol. 5』という、早稲田の水谷八也教授の企画している講演会に藤田貴大が来るというので、聴いてきました、のでメモと考えたこと(発言は正確な引用ではない場合があります。すいません……)。 隣に後輩の女の子が座っていたのだが、藤…

ミノタウロスなき〈迷Q〉——Q『迷迷Q』

Q『迷迷Q』@こまばアゴラ劇場、4/25観劇。 Qの前作『いのちのちQⅡ』を私は、〈O〉の演劇として観た(「Qは「形」を問う――Q『いのちのちQⅡ』」)。「ニンゲンの世の中」すなわち地球と、それに依存した暦、時計、社会制度、そして再生産の「形」、〈O〉。『迷…

範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』

範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』、東京芸術劇場シアターイーストで、観て来ましたので感想のメモ。 良い。センスの良いユーモアと、鋭さ。僕の読み取れた限りの本作の持つテーマに目新しさはそれほどないかもしれないが、見せ方はかなり洗練されて…

シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』

シベリア少女鉄道『あのっ、先輩…ちょっとお話が…ダメ!だってこんなのって…迷惑ですよね?』を観たので感想。 テレビドラマ的にシリアスな物語(三角関係とか、先生と生徒の恋愛、未成年の年上男性とのセックス、とか)を、シベ少特有の高度にくだらない笑…

山戸結希『5つ数えれば君の夢』

5つ数えれば君の夢 発売日: 2014/12/03 メディア: Prime Video 山戸結希監督、東京女子流主演の映画『5つ数えれば君の夢』。東京女子流が最大の目当てだったわけですが、監督の山戸結希がサブカル界隈で話題になってた気もしたので、観に行きましたので軽く…

川上未映子×マームとジプシー(東京国際文芸フェスティバル2014クロージング!)

東京国際文芸フェスティバル2014(というものがあったわけですが、みなさんご存知なんでしょうか。僕は知ってましたがスルーしました)のクロージングイベントに行きましたので少し感想を、書き散らしていますがお許しください。主に、というか全部川上未映…

「#ゆーふらいと」 テラシマユフから寺嶋由芙へ

♯ゆーふらいと[初回限定DVD盤] アーティスト:寺嶋由芙 発売日: 2014/02/26 メディア: CD 昨年の五月だったか、テラシマユフがBiSから脱退した。彼女はBiSのエースだったわけで、脱退はBiSにとってもある程度の痛手であっただろうが、それはテラシマユフにと…

きたまり+Offsite Dance Project共同プロデュース『RE/PLAY(DANCE Edit.)』

きたまり+Offsite Dance Project共同プロデュース『RE/PLAY(DANCE Edit.)』多田淳之介演出、2014年2月14-16、急な坂スタジオホール 14日、雪の中野毛山を上り、観ましたので考えたことのメモ。私は『再/生』からの一連の上演を観ていないので、『RE/PLA…

快快「6畳間ソーキュート社会」

快快「6畳間ソーキュート社会」@トーキョーワンダーサイト渋谷 テクノロジーの時代における、演劇という芸術の、そして快快の、プリミティブな魅力。生活を肯定する、優しさに溢れた劇団、演劇。 会場の空間に入ると、中心に畳が六畳敷いてあり、その上には…

小劇場に行くための本

今、演劇が熱い、と演劇に関わる人間が最近よく口にしているのですが、決して内輪だけの熱さではないと私も感じております。演劇に関しては、劇団四季とかシェイクスピアとかといった大物のイメージを持たれている方の多い気がしますが、しかし、今、熱いと…

演劇は現実を変えられない――東京デスロック『シンポジウム』

東京デスロック『シンポジウム』について。レポートとして提出したりしたものの改稿です。 東京デスロック『シンポジウム』について考える前に、彼らが今年の一月に行った『東京ノート』の公演を思い出さなければならない。 平田オリザの戯曲『東京ノート』…

十年後と一年後——『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』

劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(フジテレビオンデマンド) 発売日: 2016/02/01 メディア: Prime Video 『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(公式サイト)、アニメ版についても感想を書いてたりする(こちら)のですが…

宮崎駿『風立ちぬ』

風立ちぬ [Blu-ray] 発売日: 2014/06/18 メディア: Blu-ray 普通のユーザーの感覚からすれば、風立ちぬは、戦争産業に従事したり恋人が結核で苦しんでたりするのにまったく主人公に葛藤がないのでびっくりするし、ちょっと共感しがたい(どこに共感すればわ…

マームとジプシー『cocoon』

マームとジプシー『cocoon』(8/6観劇) 先に原作である今日マチ子の漫画作品について語るべきなのかもしれないが、記憶が薄れてしまう前に藤田貴大作・演出『cocoon』について、覚書、というか思考のダダ漏らし。考えることが多すぎて全然まとまりません。…

東京デスロック『シンポジウム』

東京デスロック「シンポジウム」@富士見(7/28) これは演劇だろうか? こう思う者も多いだろう。私も芝居の始まってからの一時間は、そのような疑問を抱いた。 小さな空間、左右の壁際に四つと五つの椅子が用意されていて、前方には司会者の椅子と机がある…

FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a roll」

FUKAIPRODUCE羽衣「Still on a roll」(7/11観劇) FUKAIPRODUCE羽衣は、ホームページによると「作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体」である。これくらいのことも調べずに第16回公演「Still on a roll」を観…

シベリア少女鉄道「遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013」

シベリア少女鉄道「遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013」作・演出:土屋亮一 2013年7月3日〜14日@王子小劇場 観て来ました。おもしろかった。再演らしいのですが、小耳に挟んだ情報によるとけっこう変わってるらしいですよ(噂。僕は今回しか見ていないの…

ロロ「ミーツ」、ハイバイ「て」、燐光群「帰還」、白山羊の会「効率の優先」

ロロ「ミーツ」、ハイバイ「て」、燐光群「帰還」、白山羊の会「効率の優先」の四本を観ました。岡崎芸術座「ブラックコーヒー」も観に行きたかったのですが日程が合わず断念。観たかったよ……。 ロロ「ミーツ」素直じゃない物語。奇妙な怪獣に出会った少年の…

新海誠『言の葉の庭』

言の葉の庭 発売日: 2014/11/15 メディア: Prime Video 新海誠監督の最新作『言の葉の庭』観てきましたーので行き当たりばったりに感想を。 簡単にあらすじを説明すると、まああんまり学校に行きたくない少年(友達とかは普通にいる)が雨の日、公園で朝から…

維新派「レミング ~世界の涯までつれてって~」ままごと「朝がある」ポーラは嘘をついた「余白」水族館劇場「あらかじめ喪われた世界へ」

五月は学業が忙しく(ほんとか?)劇評、というか劇を見ての感想的なメモ的な何か、を書いてなかったのでまとめてかるーく書いておきます。 ■レミング ~世界の涯までつれてって~(公式HP)作・寺山修司 演出・松本雄吉(維新派) PARCO劇場寺山修司没後30年…

マームとジプシー「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。」

マームとジプシー「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。」作・演出:藤田貴大 4/16〜5/1 十六夜吉田町スタジオ 長いタイトルですね。 僕がこのタイトルの公演を見…

犬と串『左の頬』

犬と串case.10『左の頬』 作・演出:モラル2013年4月10日 (水)~21日(日) シアター風姿花伝 犬と串、今回観に行ったのは、何かの雑誌(何の雑誌だっけ)で彼らの前回公演『さわやかファシズム』について軽く触れている文章を読んで、おもしろそうなことやっ…

『会田誠展:天才でごめんなさい』

三十路―会田誠第二作品集 作者:会田 誠 メディア: 単行本 会田誠展:天才でごめんなさい 何にもなびかない。すべてに「いや、」と言う。あらゆるものをひっくり返す。そんな印象を受けた。 会田誠は何でもひっくり返す。彼がひっくり返すのは、見せたい反対…

夜の朝ドラ——廣木隆一『きいろいゾウ』

きいろいゾウ 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 妻・宮崎あおい、夫・向井理。朝ドラ的な配役である。『純情きらり』のヒロイン宮崎あおいの持っていた離婚騒動以前の圧倒的な「清純」イメージは往年の、そして今なお多数のCM出演の数からも認めら…

2013年1月のまとめ

一月が終わってから五日目となってしまいました。早いものです。もう一月の記憶は薄れています。毎日が濃すぎて。いやほんとに。一月は、まあテストやレポートが忙しくて、文化的なことはあまりできなかったですね。 まず演劇なんですが、新宿梁山泊「少女仮…

歌詞をどのように論じるか——『Jポップの日本語 歌詞論』

Jポップの日本語―歌詞論 作者:見崎 鉄 メディア: 単行本 歌詞はどのように語るべきなのだろうか? 通常、Jポップについて語ったものは「音楽批評」と呼ばれることになる。音楽批評の領域にはCDにつくライナーノーツや音楽誌に載るレビューなどがあるが、さら…